スクワットとは??
下肢を中心にトレーニングが可能な【スクワット】はアスリートやダイエッターなど幅広い分野で行われているエクササイズの一つです.
スクワットの定義は,立位から下肢を曲げて腰を下げまた立ち上がるエクササイズ(wikipedia;suquatより)です.
ポイントとしては,下肢および体幹後面の筋を主にトレーニングできることです.
スクワットの正しさとは?
よく正しいスクワットという言葉を聞きますが何を持って正しいとするかが重要です.
筋力トレーニングのエクササイズだと考えると,目的とする筋にアプローチ出来れば正しいと言えるはずです.
つまりどの筋に焦点を絞るかで正しいスクワットは変わる訳です.
これは覚えておきましょう.
一つ気を付けたいのは,正しいスクワットという言い方は決して正解ではありませんが,【正しくないスクワット】はあります.
怪我を助長する可能性もあるので間違ったスクワットはやめましょう.
スクワットの姿勢で何が変わるのか?
スクワットの姿勢でどの筋にアプローチ出来るかは物理学で判断できます.
関節の運動軸と重心の水平距離が大きいとその関節でのトルクが大きくなり該当する筋への負荷も大きくなります.
大腿四頭筋に焦点を絞ったスクワット
上の図のように体幹を垂直にして膝を前に出すスクワットの場合を解説します.
青い丸は膝関節の運動軸を表し,青い四角は膝より上の身体部分(大腿,骨盤,体幹,上肢,頭部)の重心と仮想しています.
膝の関節軸と重心位置の水平距離が大きいので膝にかかるトルクも大きくなります.
黄色丸は股関節運動軸で,黄色い四角股関節より上の身体部分(骨盤,体幹,上肢,頭部)の重心とします.
関節軸と重心の水平距離がほとんどなく股関節への負荷はほとんどないと考えられます.
足圧中心や足関節のトルクにも左右されますがここでは省略します.
この姿勢であれば大腿四頭筋に大きく負荷をかけられ,四頭筋を大きくしたい場合はこの姿勢でのスクワットが【正しい】のです.
臀筋に焦点を絞ったスクワット
上の図でも考えてみましょう.
膝関節の青い丸と青い線との水平距離が小さく膝でのトルクは小さいと考えられます.
反対に緑色の丸で表される股関節軸と緑色の重心位置との水平距離が大きく股関節への負荷が大きくなります.
つまり,膝関節の伸筋つまり大腿四頭筋にアプローチしたいのであれば膝を前に出して体幹を前傾させずにスクワットをすべきとなります.
股関節の伸筋,臀筋にアプローチしたいのであれば,下腿を前傾させず股関節を後方に突き出し,体幹を大きく前傾させるスクワットが【正しい】わけです.
一般的には上の図のような下腿も体幹も前傾したスクワットが【正しい】とされます.
確かに膝への負荷や腰への負荷を抑えて,大腿にも臀筋にも負荷をかけられます.
しかし,四頭筋や臀筋へ特化しているわけではないので,臀部だけ大きくしたいのにこの姿勢では大腿も太くなります.
つまりこの目的に対しては【正しい】とは言えないのです.
ちなみに少し前は,体幹を垂直にしてお尻を後方に突き出す姿勢のスクワットがよく指導されていました.
そのスクワットはフリーウェイトでは出来ません.不可能なのです.
重心位置が支持基底面上にないと人は静止立位を保てないからです.
おそらくスミスマシンで行われていた指導をそのままフリーウェイトで考えてしまったのでしょう.
正しくないスクワットとは?
正しさとはそれぞれでしたが,ではしてはいけないスクワットとはどのような姿勢でしょうか?
上の図のように背中が曲がってしまう姿勢は腰椎に負荷がかかり,腰痛のリスクが高くなります.
背中を反らせすぎるのもNGですが,しっかり体幹がまっすぐになっているようにしましょう.
赤線で示しているハムストリングスの柔軟性が乏しいと腰椎が曲がることもあるので,柔軟性のチェックもしておくと良いですね.
また上の図のようにつま先と膝の向きが一致しないスクワットも注意が必要です.
膝関節の回旋弛緩性が大きくなったり運動イメージにズレが生じたりすることで運動中の怪我や関節痛のリスクが増大します.
膝の向きとつま先の向きに注意しましょう.
スクワットの注意点
スクワットはBIG3と呼ばれるほどよく知られたエクササイズです.
簡単に行えるので多くの人がやった経験があると思います.
姿勢に注意することで目的とする部分にしっかりアプローチが出来ます.
但し,負荷を集中させるということは身体にかかる負担も大きくなる点には注意が必要です.
四頭筋に負荷を集中するよう膝を前に出すと膝蓋大腿間説を含む膝関節への負担は大きくなりますし,臀筋に負荷を集中させるために体幹を前傾させると脊椎への負担も大きくなります.
負荷と負担を選んでエクササイズしましょう.
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