球速にこだわる投球フォーム
【投球フォーム】の基礎のコラムは↓
今回のコラムは徒然と順序など関係なく球速アップする投球フォームについて思いついた事を書き足していこうと思います,
山本由伸投手の投球フォーム
山本由伸投手を特集した配信動画の切り取りです.
軽いキャッチボールのフォロースルーのタイミングですが,左足のめくれ具合に注目してください.
内側がめくれ上がり,つま先もやや浮いています.
これは後外側に重心があることを意味しています.
ここからは考察ですが,軽いキャッチボールでも骨盤の横回転が意識されており左股関節を軸とするトルクが発生しているため内側がめくれ挙がっているのです.
つま先が浮くのは,左脚着地から左脚を突っ張るように使い,左股関節を後方に押し返すことで重心の前方移動を横回転のトルクに変換しているためと考えられます.
軽いキャッチボールでも下半身の使い方が自然と出るくらい,ボールを投げるには必要な意識なのだと感じたシーンでした.
佐々木朗希投手の特性
先日選抜甲子園準優勝の高校球児と色々話をしました.
面白い話が聞けるいい機会でした.
そこで佐々木朗希選手はどうして球速が大きいのか?という議題になりましたので,個人的考察とトレーニングの小さな提言をします.
球速は力×速度のパワーによります.
佐々木選手の体格は線が細いように見えます.
ですがWikipediaによると大谷選手とほぼ同等の身長・体重なのです.
大谷選手のほうが体格が良いように見えますね.
これはおそらく手足の長さと細さによるものかと思います.
佐々木選手のエクステンション(プレートからリリースした場所までの距離)は211cmだそうです.
大谷選手のエクステンションは約207cmです.
大谷選手の方が身長が高いにも関わらず,エクステンションが大きいのはリーチの長さが影響していると考えられます.(投球フォームでも影響はある)
リーチが長いとその分角速度も大きくなりますから球速には好条件です.
また投球時のアームの質量が小さいほど加速度は大きくなりますので,細長い腕は球速にはとても良い条件です.
さらに言えば,アームの質量が小さいということは同じ球速でも肘・肩にかかる力学的ストレスは小さくなります.
これは投手という特異性を考えてもとても大きなメリットです.
この肩・肘を傷めないためには前腕のトレーニングはアイソメトリックで行い筋肥大を最上限にするのも必要な取り組みなのかもしれません.
山本由伸投手の肩の故障について
2024年6月,ドジャースの山本由伸投手が右腕のハリを訴え降板,その後腱板炎であると報道されました.
近年トッププロで肩の痛みを訴える投手は少なくなっているので少し違和感を感じました.
バイオメカニクスから考察したいと思います.
開幕当初と比べると山本投手の投球フォームは若干変化があるようです.
球速アップを意識したものだと思いますが,テイクバックまでの左手の内旋が大きくなっています.
また右上腕骨でみた腕を後ろに引く動作(水平外転)も強調されています.
捻転を意識した球速を求めるフォームにしているように感じます.
このときの右肩の動きに問題があります.
まず腕を後ろに引く動作の際,肩甲骨でこの動きが行われていれば肩の負担は小さいままです.
ただ上腕骨のみでこの動きが増大しているとインターナルインピンジメントが発生し,直接腱板にダメージが生じます.
また,この水平外転が大きいフォームの場合,左脚が着地するまでに上腕骨の外旋が充分に行われていないと,腱板へのストレスはより大きくなりやすいのです.
あくまで推察ですが,球速をより求めた結果,投球フォームを変容させた事が肩への負担を増やしたという結論に至ります.
水平外転成分をしっかり肩甲骨で行えるか,テイクバック完成時により早く肩外旋を完了させておけば肩の痛みは回避出来たのかも知れません.
大谷翔平選手のバッティング
今年から大谷選手がボックスに入る前にやるルーティンです.
ハーフスイングを一回するのですが,リードレッグ(右足)に注目してください.
ハーフスイングでさほどの力感はないにも関わらず,右足がめくれ上がっています.
右脚で踏ん張り右股関節を後方に押し返すように横回転のトルクを生み出しているということです.
このコラムの冒頭,山本投手のピッチングでも同じようなリードレッグの働きを書きましたが,野球においてピッチングでもバッティングでも大きな力の生み出し方は同様であると考えられます.
このリードレッグの足がめくれ上がる動きを意識すると野球のパフォーマンスは向上するでしょう.
山本投手の投球イメージ
山本投手の軽いシャドーピッチングの様子です.
コッキングで掌が上を向いていること,
小指が耳のそばを通ること,
リリース期に肘がしっかり伸展していることがわかります.
投球のイメージとしてとてもわかりやすい映像でしたのでシェアします.
バイオメカニクスからみた投球フォームの詳細は↓
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