体幹トレーニング中,お腹が膨らんだ状態は何が起こっている?
体幹のトレーニングなどでお腹に力が入っていながらお腹が膨らんでいる状況は,
- 下部体幹の皮膚・筋の柔軟性
- 内容物の容積(内臓脂肪量など)
- 横隔膜収縮力
- 腹筋群の収縮力
体幹中のお腹が凹んでいる時はどういう状態?
お腹が凹んでいる状況を解説します.
- 腹筋力
- 働く腹筋群の種類
- 横隔膜の脱力
- 骨盤の前後傾角度
体幹トレーニングではどちらが理想か??
ここでは解剖学や運動学を基に私見を交えた結論と考えてください.
腹筋の収縮様式からの観点だと,お腹が膨らんだ上で腹筋に力を入れているのは,腹直筋以外の体幹を安定させてくれる【腹斜筋】や【腹横筋】に力が入りにくいです.
実際やってもらうと分かりますが,
まずお腹を膨らませます.そのまま,呼吸を続けながらお腹に力を入れてみましょう.
お腹の真ん前は固くなっている状態ですが,横の方はいまいち固さが弱いはずです.
次はお腹を凹ませてやってみましょう.
同じようにすると,側腹部もしっかり固くなるはずです.
これが【腹斜筋】や【腹横筋】の働きです.
お腹が膨らんだ状態は,空気圧での体幹固定作用.
お腹が凹んだ状態は,筋実質の収縮力での固定作用で安定性もより強く働くという事です.
この時点で,体幹の安定性と言う面で【お腹を凹ませる】方が良いと考えられます.
【腹圧】という意味でも,腹筋群の収縮+横隔膜も収縮している状態が腹圧は一番高くなります.
横隔膜が収縮して腹腔が押し下げられると
網目で表示されている腹筋群が伸ばされるとお腹が膨らむ
横隔膜と同時に腹筋群が伸びないように収縮させれば腹圧が上昇する
また,お腹を膨らませた状態は,常に横隔膜が収縮しているので(吸気に関与出来ない),
呼吸は外肋間筋を主とした,『肋骨を拡げる筋肉』に頼る事になります.
本来,横隔膜は腱成分が多く非常に燃費の良い(エネルギー消費が少なく疲れにくい)組織です.
その横隔膜を使用せず,肋間筋で積極的に肋骨を拡げる運動は,筋肉のエネルギー消費を増やしスポーツには向かない呼吸様式です.
お腹を凹ませた状態でも横隔膜は運動できますから,呼吸のエネルギー効率を捉えても,【お腹を凹ませた】方が良さそうです.
ちなみに,お腹の力を入れたまま呼吸が上手に出来ないという人は,体幹の筋肉を『呼吸する』ためと『身体を支える』ための使い分けが出来ていないという事になります.
体幹トレーニングの目標は,単純に‘筋力’や’安定性’を求める訳ではなく,
- 目標とする動作を遂行するときに,無意識下で身体のそれぞれの部分が協調的に,適正な筋力が発揮される事
だと考えられます.
つまり,意識せずとも身体を支える筋肉が働いている状態にする事なので,『呼吸とは分離』して腹筋群を使える要領の獲得がまず必要になります.
経験談ですがこの『分離した使い方』が出来ない人は,体重の重い人が多いです.
これには理由があり,1日に姿勢をしっかり筋肉で保持出来た場合,基礎代謝の20%程度エネルギーを余分に消費すると言われています.
基礎代謝の20%は少なく見積もっても200㎉はありますから,その分だけの脂肪(5週間で1㎏)を蓄える事になります.
使い分けの出来ていない人は,呼吸に筋肉の使い方を取られてしまっていますから,姿勢の保持に筋肉を上手に使えていない可能性があります.
余談になりましたが,呼吸の様式やそれぞれの組織の特徴から考えると,お腹を凹ませた状態でのエクササイズの方が良いでしょう!
上半身が裸になるスポーツを浮かべてください.
- ゴールを決めた後のサッカー選手
- 外力から腹筋が内臓を守る働きのあるボクサー
体重が必要な特殊なスポーツを除き,アスリートのお腹は膨らんではいないでしょう.
キレイな姿勢を保つ意味合いでも,特に下腹部を凹ませた状態で体幹トレーニングを行ってみましょう!
姿勢の改善も相まって色々な相乗効果が生まれますよ!
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