今では【胸骨圧迫】と言いますが,一次救命のもっとも大事な事です.
ある程度のやり方は知っていても,
強さやテンポなど,細かい方法はなかなか知らないものです.
今回はガイドラインを基に,少しでも人命救助につながる方法を説明します.
是非,目を通してください.
もし目の前で大切な人の意識が無くなったらあなたは対処できますか?
この春,京都府舞鶴市での大相撲巡業の挨拶で市長が倒れたことが話題となりました.
話題となったのは,場内のアナウンスについてでしたが,
注目すべき点はもう一つ,
‘突然,元気な人が命の危機に瀕する状況が起こり得る’
という事です.
私たちアスレティックトレーナーは,一次救命の講習が義務付けられています.
スポーツの中でそういった事も起こり得るからです.
ではそのような状況でとっさに動く事が出来るでしょうか?
‘正しい方法が分からないから’ と言って動かない というのは,
人の命を手放すことになり兼ねません.
まずは動く事が第一ですが,ここで今一度方法を確認しましょう.
一次救命の基礎
一次救命の原則は
【強く,速く,絶え間ない胸骨圧迫】です.
胸骨圧迫の中断が最小になるような注意が必要で,
基本的には,胸骨圧迫と人工呼吸は,30:2の比率で行いますが
成人の心肺蘇生については,人工呼吸は「技術と意思があれば」という条件が付け加えられています.
胸骨圧迫の開始
普段,そういった経験がない人にとって難しい事は,
【胸骨圧迫を開始して良いかどうか】だと思います.
開始は,‘呼吸の停止’か‘死戦記呼吸’を確認した時ですが,
一般の人はまずこの判断が困難です.
ガイドラインの市民向けには,
「わからないときは胸骨圧迫を開始する」とされています.
わからないときは,【まず動く】というのが方針です.
実は泥酔だったや,無呼吸症候群であった場合はどうなのか?
判断を間違って胸骨圧迫を行った場合の障害として,
- 骨折:1.7%
- 圧迫部位の痛み:8.7%
が挙げられますが,確率としては小さいですし,
内臓損傷はない という研究結果であり,
判断出来ずに胸骨圧迫を開始しないデメリットよりも,
心停止を鋭敏に認識することメリットの方が大きいと判断されます.
胸骨圧迫の深さ
一次救命のガイドラインは5年に一度更新されており,
胸骨圧迫のテンポと深さは変更されることがあります.
以前は,【少なくとも100回/分】
でしたが,現在は【100から120回/分】になっています.
これは上の図のような,心拍再開率の検証によるものです.
胸骨圧迫の深さ
胸骨圧迫の【深さ】も,ガイドラインで変更されています.
以前は,「少なくとも5cm」でしたが,
現在は,「約5㎝で6cmを超えない」とされています.
この‘深さ’の判断は難しいですが,
5㎝圧迫を加えるのは結構力が必要です.
胸骨圧迫の機会が多い,看護師は「汗だくになる」と言います.
胸骨圧迫の中断
心肺蘇生では,人工呼吸や除細動器などの使用で胸骨圧迫を中断する時間があります.
- 2回の人工呼吸に伴う胸骨圧迫の中断は,10秒未満
- 除細動器を用いて行う電気ショック前については10秒以下
と推奨されています.
これは,電気ショック後の胸骨圧迫中断時間を短くすることや,
心肺蘇生中に実際に胸骨圧迫を行っている時間の比率を上げることが
生存退院と強く関連する研究があるためです.
胸骨圧迫の場所
一般の人で判断しにくいのは,圧迫の場所です.
ガイドラインでは,「胸骨の下半分」とされています.
今回は,山下和範 他:蘇生;37巻1号 の総説を基にしています.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjreanimatology/37/1/37_1/_pdf/-char/ja
こちらからも閲覧出来ますので,詳細は本文を確認してください.
この記事がひとつのきっかけになり,
多くの人が一次救急を行えるなる事を願います.
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チョン ジョングク (日曜日, 06 6月 2021 18:47)
分かりやすいー!