・肩だけケアしても良くならない
・首のケアも必要
・神経の影響も考える
・より早い対処が重要
五十肩の痛みが続くのはなぜか!?
五十肩と一括りにされる【肩の痛み】にはたくさんの人が悩まされています.これは治療者側も同じです.
今回は,五十肩 と言われる,『何をしたわけでもないのに痛みが出てきて,夜寝ているときにうずくような痛みで目が覚める』
そんなやっかいな肩の痛みについてのコラムです.
私も以前は患者さんの肩がどんどん悪くなる過程を止められませんでした.医師が執筆するような書籍にも『凍結肩(ここでの五十肩)は,拘縮(関節が固くなり動かなくなる事)が完成してからが勝負』と言う文言があるように,私自身も仕方のない事と諦めていた時期もありました.
でも決してそうではありません.
私同様,理学療法士や鍼灸師の方に目を通してもらって臨床に役立ててほしい内容です.
五十肩 とは・・・?
五十肩の呼び方について
五十肩とは,‘凍結肩’や‘肩関節周囲炎’という病名になることが多いようですが,加齢とともに起きるきっかけのない肩の痛みの総称です.
つまり【五十肩】という病名ではありませんが分かりやすいのでそう呼ばれているのでしょう.
なので【腰痛】と同じように『五十肩』と呼んでも色々な症状や原因がありますので『〇〇をしたら必ず良くなる』と言う事はありません.
それぞれの病態に合わせた対応が必要になります.
【五十肩】は肩の痛みの総称であり,軽症のものから重症のものもあるので,
- 「ほっといたら良くなった」
- 「痛みを我慢して無理やり動かしていたら良くなった」
という話もよく聞きます.病態により様々なので症状がひどくならずに緩解する事もあります.
ただ一向に良くならない肩の痛みも少なくありません.
このコラムでの【五十肩】は?
ここでは,
- 動かさなくても痛い
- 関節が固くなる,関節拘縮がひどい
- 痛みが長く続く
タイプの最も治療に難渋する 【五十肩】に絞ってコラムを進めます.
このようなひどい五十肩は強い痛みが長引き,約2年も肩の痛みや関節の固さに悩まされます.
この固さは【関節拘縮】と言いますが,治療家のなかでもなかなか難渋する症状の一つです.
骨折して手術をするような大けがでも,そう長引くことはなかなかありません.
上記のタイプの肩の痛みはなぜこんなにひどい痛みが長引くのでしょう??
五十肩の痛みの理由は本当か?
このような肩の痛みはとても難しく『なぜ痛いか?』がわからないため,治療方法も適切なものが無いのが現状かと思われます.ですのでなかなか治らないのでしょう.
‘ 五十肩 ’をインターネットで調べると,
- 腱板炎
- 関節周囲炎
- 滑液包炎
などが痛みの原因であるように書かれています.
さらに「なぜそうなるか?」については,
- 肩甲骨の動きが悪い
- 腱板というインナーマッスルの働きが弱い
事などが出てきます.
確かにこれらが原因で,肩関節周辺の構造物に炎症が起きて痛みが出ることはあります.
ただ考えなくてはならないのは,
- 普通の炎症であれば安静時の痛む事はなく,夜に目が覚めるようなことは少ない
- 2年間も症状で悩まされるのは考えにくい
事です.
人工関節など侵襲の大きい手術後でも,1週間も経てばある程度痛みはコントロール出来ますし,それが原因で2年間も症状が残存するという事はほとんどありません.
そうすると腱板や関節包など関節の構造物だけの炎症による痛みとは考えられません.
五十肩 の ‘ 病態 ’ を考え直す
ここからは,ひどい五十肩で発生する【肩関節の固さ(拘縮)】と 【夜間の痛み】 から肩関節に何が起こっているかを考えてみます.
五十肩 の【固さ(肩関節拘縮)】について考える
五十肩による肩の関節拘縮は,肩の痛みが出てから一か月くらいすると起こり徐々に可動域が小さくなります.
肩の痛みが関節の固さより先に発生するので,関節の固さが痛みの原因ではなさそうです.もしそうであれば関節の可動域制限が先に現れるはずです.
そして一般的に『安静時の痛みは6か月ほどでなくなり,関節拘縮だけ残存する』パターンがほとんどです.固さがあっても痛みはない状態です.
関節の固さは肩の痛みに直接影響している訳ではありません.
次に関節拘縮の原因となる部分を考えます.
『拘縮が完成して固くなった肩を動くようにする』手術(マニピュレーション)をしたとき,関節を包んでいる袋(関節包)の,【後方下部】と【前上方の腱の隙間】に破綻した部分があり,肩周囲の筋肉に所見はなかったとの研究結果があります.
この事から,拘縮は筋肉ではなく関節包が原因という事が分かります.
よく理学療法士や鍼灸師は筋に原因を考えがちですが,拘縮の完成した凍結肩には筋肉に対するストレッチなどのアプローチは効果が小さいという事です.
この関節包が原因となる拘縮,つまり急激な関節包の変化・変性はなかなか起こり得る事ではありません.
股関節や膝関節など他の関節で考えても,単純な炎症や変形でこのような急な変化は起こりません.
五十肩で発生する関節の固さは関節の炎症や変形に由来するのではなく,何らかの特別な理由で急激に関節包が縮むという事になります.
では何がこの肩関節の拘縮の原因でしょうか?
これについてはあとで詳しく解説しますが,上記の図で示した関節包が縮んだ場所を細かく解剖すると,神経の変性(神経が傷んだ状態)が観察できる事が分かっています.
神経が関与する可能性があるのです.
五十肩 の【痛み】から考える〜特に夜間痛について〜
次に痛みから五十肩を考えてみます.
凍結肩に至る肩の痛みで特徴的なものに,動かした時の痛みではなく寝ている時など『動かさないのに痛い』と言う夜間の痛みがあります.
この【夜間痛】については議論されますが,よく言われるのは【関節内圧;関節の内側の圧力】の上昇が原因との説です.
この考えに至ったのは,
- 痛みがある人の関節内圧を測定すると,内圧が高い人が多かった
- 肩関節は,起きている姿勢より寝ている姿勢で関節内圧が高い
- 内圧を低くする手術をした結果,痛みが治まる人が多かった
などの研究結果に基づくものです.
これをみると確かに【関節内圧の上昇】が夜間の痛みに関与していると考えられますが,関節が固くなったときには関節包が縮んでいるため,内側の圧力も当然高くなります.
2.の『起きている姿勢』 と 『寝ている姿勢』の違いによる内圧の変化のためという考え方ですが,腕を三角巾でつるようにして内圧を大きくなるような姿勢にしても,痛みがひどくなる例に出会ったことはありません.
ですので『内圧の変化』がすぐ痛みに影響するわけではないようです.
手術により圧を下げると痛みが改善される人が多かったのは確かだと思いますが,手術をした全員の痛みが消失するわけではないようです.
3についての痛みが減弱する理由は,ブロック治療で痛みが改善する理由にもあることですが『手術操作によって痛みを発する物質が洗い流す(Wash out)事になったため』か『感作など神経因性の痛みが麻酔の効果で緩和された』可能性もあります.
以上から考えると,関節内圧が直接痛みの原因と考えるのはやや短絡的で,まず内圧の上昇に至る理由を説明出来ません.そして拘縮につながる【関節包が縮む理由】もわかりません.
内圧の上昇は『原因というより結果』とするのが妥当だと考えられます.
そして『痛みの場所』から考察します.
夜間痛など五十肩で訴えが多いのは上腕の外側です.
図の黄色い線が通っているあたりです.
この黄色い線は,首から始まり脇の下を通って腕の外側に至る神経です.
ほとんどの方はここの痛みを訴えます.
さらに臨床にいる方に試して欲しい圧痛点が,
- 頚部C5横突起部
- 胸背神経の腋窩走行部
- 筋皮神経上腕遠位走行部
- 長胸神経及び外側胸神経の小胸筋下走行部
です.
このどれかもしくは複数個所に,ほぼ全例が圧痛を認めるはずです.
また,前腕にかかるまでの神経をストレッチしてみてください.強い伸張痛を訴える例がほとんどです.
つまり,頚部から起因する神経にそって【関連痛】ないし【放散痛】が生じているという事です.
後にも説明しますが,神経に障害があっても電気診断学的検査で検出されない事もありますので神経系の検査をしても抽出出来ない事が多いようです.
このように肩の痛みの場所には,神経が関与していると考えられます.
神経は,【痺れ】や【筋力低下】があるまでフォーカスされる事少ないですが,水面下・潜在的に症状はあります.
それを示す一つの現象として,Renaut 小体(神経終末の漿液性球状変化)があります.凍結肩例の腋窩関節包部を細かく剖検すると認められる神経の変性です.
Renaut 小体の解剖学的意義については未だ議論の余地はありますが,慢性的に絞扼を受けている部分や動脈硬化の進んだ部位に発生する事が多いようです.
さらに凍結肩の人のC5神経根は健常人に比べて断面積が大きく肥大しているとの報告もあります.どちらが先かは不明ですが,何かしらの神経の作用があることを疑わせます.
先ほども述べたようにこのような限局された神経障害は電気診断学検査で捉えられない事もあり,病態理解を難しいものにしている可能性があります.
拘縮と痛みから考える 【五十肩になるわけ】
上図を再掲します.
固まった肩を無理やり動かした時に関節のどの部分が破綻するかを調べたものです.
この関節が急激に固くなる,いわゆる拘縮の原因となる『肩関節包』が変性する場所の【腋窩関節包】と【腱板疎部】は頚椎5番目からの神経の付着が認められています.
また,安静時にも発生する痛みの場所は,首の5番目から通ってくる神経に沿って生じています.
このことから【五十肩】を患う方は首の5番目に何らかの問題があり,単純な肩関節の炎症だけで痛みが発生している訳でなく,神経の影響も考えるべきという結論に至ります.
ですので【五十肩】に対して肩関節だけケアしてもなかなか良くならないという事です.
五十肩 と神経の関係
普通のケガでは起きない,五十肩と呼ばれる異常な痛みや関節の固さは神経に起因してどのように発生するのか?
上記に神経の関与について言及しましたが,他に神経由来の症状として考えられる事実を提示します.
安静時も痛みがあるような異常な痛みは,複合性局所疼痛症候群(CRPS)と呼ばれる神経因性(神経が原因)の痛みと似通っており,このCRPSは五十肩同様に関節拘縮も生じます.
また,五十肩で強い痛みがあり拘縮が進むのは,
- 男性より女性で多い
- 甲状腺機能異常の人に多い
- 糖尿病の人に多い
- 高脂血症の人に多い
事が分かっています.
前述しましたが,関節が固くなる原因は関節包の後方下部に多く,この部分は変性している神経(Renaut 小体)が多い事が分かっています.
この神経の変性は血流が悪いところに見られます.
女性は50代頃からホルモンバランスに変化があり,動脈硬化が進みやすくなります.
甲状腺機能異常の人も血栓が出来やすくなったりして血流障害が生じる可能性があります.
糖尿病,高脂血症の人も動脈硬化になりやすいことが分かっています.
これらから考えると,五十肩による異常な肩の痛みや関節の固さは,
- 神経因性の症状と似ている
- 神経の変性が認められる
- 血流障害が生じる疾患で多い
- 血流障害の部位と神経変性が一致する場所である
という特徴があります .
血流障害による神経への悪影響が原因で発生している可能性も視野に入れて考える必要があります.
炎症を生じた関節は,神経の作用で動かさないでいると痛みを感じやすくなったり,神経の【揺変性】から考えて動かない事で神経因性の疼痛が増悪するため,内圧の上昇でしか説明出来なかった『夜間の痛み』などの安静時痛も説明が出来ます.
神経が変性する機序は様々ですが,圧迫や伸張刺激による血流障害から神経内循環・軸索輸送が障害され,低酸素から神経に炎症が起こります.
炎症は神経内の浮腫を発生させ,神経周膜拡散障壁が炎症性浸出液の拡散を妨げる事でさらに浮腫が持続してしまいます.
浮腫が継続すると,神経が線維化し柔軟性が低下する事でさらに圧迫や伸張刺激を受けやすくなり,悪循環が生じます.
この状態が続くと神経に沿って髄鞘や軸索に変化が起こり,局所的な脱髄からびまん性の脱髄変性が起こるとされます.
様々な神経に対する物理的なストレスから痛みが生じる機序を図に表します.
痛みの場所から考えても神経の影響を受けている事はほぼ間違いないでしょう.
さらに神経は複数の場所で圧迫されると症状を起こしやすい(ダブルクラッシュ症候群)性質があります.
上のレントゲンは【ストレートネック】と言われる状態ですが,観ると5番目の頚椎上下で変形があるようです.
このように元々首の5番目は変形を起こしやすい場所で,それぞれ痛みのある場所は筋肉や骨を縫うように走っています.
頚部で一度圧迫を受けて,その後首の付け根や肩の筋肉などにで圧迫を受ける,その影響もあると考えられます.
以上から関節が固くなるようなひどい五十肩の正体は,【神経】の影響を強く受けているだろう という事です.
五十肩に対する処置は?
ここからは,ひどい五十肩の正体を【神経】に由来すると捉えて方針を考えます.
神経に対する圧迫などのストレスを解消する
神経は複数の場所で圧迫を受けると症状が出やすくなり,さらに圧迫と引っ張るストレスを受けると神経の変性は進みます.
肩関節包の後方下部には頚椎の5番目から分かれる神経があり,わきの下を通って関節へ向かいます.
上のレントゲンでも示したように頚椎の5番目は頚椎症などの症状が多く,神経の圧迫が起こりやすい場所です.
また,わきの下も筋肉や骨に挟まれた場所を神経が通るため圧迫を受けやすくなります.
腕を動かすことで神経を引っ張る力も受けるため神経の変性が起こると考えられます.
首の骨(頚椎)は本来,前に沿って(前弯して)いますが,姿勢の崩れなどから骨の並びが真っ直ぐになってしまったり(ストレートネック),反対に前に曲がってしまったりして,神経の負担となります.
肩から腕にかけての筋が緊張していたりしても神経を圧迫します.
頚椎の5番目が影響しやすい理由については↓にもまとめてありますので参考にしてください.
典型的なストレートネックのレントゲンです.やはり5番目前後に負担ががあるようです.
首の痛みだけでなく背中まで至る放散痛があり,夜も眠れないとの訴えがありました.
右図の青く表示されている神経に沿って痛みがありました.
この方は頚椎にもアプローチする事で2か月を経たずに状態が軽快しました.
このように頚椎の神経の状態を考えると,神経の通り道に余裕を持たせる必要があります.
頚椎の骨格上の問題については姿勢を意識することも重要です.
背骨,特に肩甲骨の高さあたりが丸く猫背になると,頚椎はどうしても曲がりやすくなります.
↓の赤い部分,特に上の方をしっかり伸ばす意識が良いです.
脊柱の可動域が小さくなっていると姿勢を修正することも難しいため,脊柱や肋骨の関節を動かす施術も必要になります.
また,首と頭を支える筋肉が機能的に働かなかったり,単純に筋力が不足していも首を安定させられないため症状につながる可能性があります.
肩甲骨から肩にかけてのストレッチやリラクセーションも行いましょう.
普段働いていない筋肉は少ない刺激で緊張しやすいため,エクササイズを通して筋肉を柔軟にしておく必要があります.
さらに神経は筋肉を貫通するところで圧迫や伸張ストレスを受けやすく,神経の通り道である部分を改善すると症状が激変する可能性もあります.
神経の長さを調整する
次は神経の長さによる影響から考える方法です.神経が短くなると神経に対する少しのストレスでも症状が出てしまう可能性があります.
『神経の長さ』と言うといまいちピンと来ないかも知れませんが,ほとんどのみなさんは身体の動きのなかで『神経の長さ』の影響を受けています.
例としては『体前屈』です.動けるスペースがあれば実際試して頂くと分かりやすいです.
下の写真のように立った状態で身体を前屈します.
身体がとても柔らかい方以外は,お尻からふくらはぎのどこかで突っ張るような感覚があるはずです.
この時の突っ張る感覚は,ほとんどの場合『神経が伸ばされた』時の物です.
参考までですが,【体の固さ】は,
- 関節の動く範囲
- 筋肉の長さ
- 神経の長さ
によって定義されます下の写真ではその影響する部分を色分けてあります
次に長座体前屈の要領で脚を投げだして座って,身体を前屈します.
この時,足首を楽にしていると,立った時より楽に前屈出来て,『お尻からふくらはぎにかけての突っ張り』があまりなくなるはずです.あるとすれば太ももの裏の筋肉に突っ張る感じがあると思います.
この差は足首の角度によって神経の長さが変わるため突っ張る場所も変わる訳です.
これがよくある神経の長さが身体に影響を及ぼしている事です.
五十肩の場合も同じように,わずかな圧迫や,腕・首のわずかな動きでも,神経が短くなっているとストレスになってしまいます.
神経をストレッチする事で長さを調整する事や,神経自体の滑りを良くする事で神経に対するストレスを少しでも小さくする事が重要です.
五十肩 及び 肩の痛みに対する当施設での方針
五十肩を含めた痛みに対して当施設では,
- 骨格の調整・・・姿勢を維持しやすくするため関節可動域調整
- 神経組織への対処(*神経リリース)・・・**Neural Flossing ・***Ischemic Conditioning (神経への直接的処置)
- 頚・胸椎周囲のストレッチ・・・首の動きは胸椎の動きにも影響;より効果的なストレッチ方法
- 鍼灸施術による除痛
- 当該部位への電気刺激・・・鍼を用いて深部までの通電刺激が可能
などの方法を用いています.他にも姿勢改善やエクササイズを通して体調を整えることも出来ます.
その他に必要な事は血液状態を健全に保つ事です.
水分をしっかり摂ることや軽い運動をする事なども大事です.
どこに行っても良くならない肩の痛み,もしお困りならぜひ最後に当院をお試しください.
**Neural Flossing
神経の伸張性・滑走性にアプローチする方法です.
神経は潤滑液のようなものの満たされていますが,この体液性因子にも好影響があると考えられていますが,これについては科学的な根拠はまだ示されていません.
実際,解剖上神経の変性は,漿液性の変化と言われていますので解剖学上も有用なアプローチと考えられます.
***Ischemic Conditioning
血流をコントロールするアプローチです.
血液が少ない状態で引き起こされる,身体の治癒力が向上するシステムを利用したもので,心筋梗塞や脳梗塞などにも応用され,血流制限下トレーニングもその理論が組み込まれています.
五十肩まとめ
血流の問題や神経の影響から,五十肩・凍結肩に関する問題を考えてみました.
痛みの発生や場所,その他の症状から神経の関与があると思われます.
そして神経に対するアプローチについては,神経の構造や生理的作用を理解する事が必要です.
今までの治療が著効しない以上,新しい観点から病態を考え直してはどうでしょう?
肩が痛むからと言って肩のケアばかりしていても一向に良くならない事が多いです.
必要な部分をしっかり見直す事で痛みから早く開放されるはずです.
そして,私のような理学療法士や鍼灸師など,治療にあたる方,この肩の問題だけにではなく全ての疾患に対して言える事ですが,“これをしたら良くなる” という How to ものに囚われず,病態から理解して治療方法を考える事が必要なのを忘れないでください.
参考文献
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- 日野 高睦 他.:肩関節疾患に対するjoint distensionの有用性.肩関節,18:399-404,1994
- 三岡 裕貴 他.:Renaut小体.第14回臨床解剖研究会記録,11:30,31,2011
- グレゴリー.S.コルト,リン・スナイダー=マクラ− 編.スポーツリハビリテーション 最新の理論実際.西村出版,東京.
今回のコラムは,五十肩・凍結肩と呼ばれる症状をひも解き,その原因と改善方法を考えられる範囲で述べましたが,原因を特定するものではありません.
石川県金沢市 スポーツと身体のケアなら
Sept. Conditioning Lab. 㐂楽鍼灸整体院
コメントをお書きください
50代女性 (火曜日, 01 5月 2018 23:39)
10ヶ月ほど前から右肩に痛みが出始め、拘縮も進んで脇が30度以上開きません。こちらのサイトは知りたいことが列挙されていてためになりました。通院したいと思いましたが、東京住みで叶わず残念です。
Sept. Conditioning Lab. (水曜日, 02 5月 2018 09:40)
50代女性 様
コメントありがとうございます.
病状お察しします.
拘縮が進んだとなると,あとはゆっくりストレッチなどで可動域を拡げることが大事ですね.
まだ,夜間の痛みに悩まされているようでしたら,軽い全身運動や姿勢を意識することで
落ち着く可能性もあります.
いずれにせよお大事にされてください.
大隅 修三 (水曜日, 06 6月 2018 15:16)
80台の男性です。肩関節周囲炎だと思います。夜中に激痛でおこされます。 冷えると昼間でも痛みます。如何すれば良いのか、助けて下さい。今診断をして下さっているお医者さんは色んな薬を数多く飲んでいるのでトウにもならないと言っておられます。住所739-0151 広島県東広島市八本松町原1484-3 氏名 大隅修三と言います。左肩から腕にかけて毎晩つらい思いをしております。助けて下さい。2年前頃から、良いお医者があれば教えて下さい。
Sept. Conditioning Lab. (木曜日, 07 6月 2018 09:48)
大隈 様
コメントありがとうございます.
大変なご様子ですね.
なかなか時間がかかる場合もあり,長時間苦しめられている方も沢山いらっしゃいます.
まず,お薬を沢山飲まれているという事で,
肩に影響する他の原疾患を抱えている可能性があります.
本文中にもあるように,高脂血症や糖尿病の状態にも影響を受け,
それらが落ち着くと肩の症状も変化する事もあります.
なにぶん,遠方という事もあり,心強い病院を存じ上げません.
お力添えが出来ないところが心苦しく存じます.
アドバイス出来るとしたら,
ストレッチを含めた,軽い運動,原疾患への対応が重要と考えます.
なお,コメントに住所及び氏名が入っております.
大隈様のプライバシーに関わることですので,
名前部分の削除や変更も致しますので申し付けください.
直接お電話やメールを頂く方が詳しく対応も出来ますのでご検討ください.
桜井佳江 (水曜日, 27 4月 2022 08:06)
昨年9月頃から左手が上がりずらく今年にはいってから整骨院に通い始め、先月から整形外科に通っていますが、薬を出されて3週間で、やめています。日中は気がまぎれますが、夜間痛がひどくて、眠れないのが悩みです。
Sept. (水曜日, 27 4月 2022 13:44)
桜井 さま
夜眠れないのは生活にも大きく影響しますね。
夜間痛の場合、枕の調整や水分摂取で楽になることもあります。
お近くであればぜひ来て頂くと良いかと存じます。
オンラインでの整体も好評ですので遠方の場合でも諦めずご相談頂くと色々サポートも可能です。
くれぐれもご自愛ください。
山田ひろみ (木曜日, 15 9月 2022 07:28)
最初は右肘の痛みからで 暖かくすると良くなったのですが次第に にの腕の方にも痛みが来るようになりました。夜は痛み、違和感で目が覚めます。
Sept. (木曜日, 15 9月 2022 15:26)
山田 様
痛みが拡がるご様子ですと改善にも時間がかかることが多いです.
なるべく早く対処された方がよろしいかと存じます.
姿勢などの影響も大きいので注意してみてください.
お近くであれば来院頂くのもよろしいですし,オンラインでのご相談も承れます.
ご検討ください,