「捻挫はクセになる」
ってよく聞いたことありませんか?
*予防方法は下にありますので予防方法のみ知りたい人は読み飛ばしてください.
捻挫というと一般的に足首が連想されると思いますが,捻挫というのは,関節に力学的ストレスが生じて組織が損傷することの総称を言います.なので足首に限らず他の関節でも捻挫と言われます.膝を捻挫して靭帯や半月板を損傷することもあります.
しかし,捻挫の数が足首に多いのも事実です.ここでも足首を前提に話を進めます.
捻挫の原因は?
捻挫は確かに繰り返しやすいと言われます.ですがクセになるものではありません.
まずは捻挫の原因について考えます.
- 足首の構造
足首はいろいろな骨同士が複数の関節をつくって動いています.そのなかでもっとも損傷しやすい関節は,爪先立ちをするように足首を伸ばす(底屈)と固定性がなくなり緩い状態となります.そのときに横方向の力が働くと靭帯に損傷が起きます.爪先を挙げる(背屈)ようにし,すねに近づけば近づくほど関節は安定し捻挫が重症化しにくくなります.
- 足首の感覚
あまり注目されませんが,これが非常に重要です.ヒトは身体の感覚を元に動作をしています.‘触れる’という感覚だけではありません.動きの感覚です.感覚が鈍い身体は思い通りに動いてくれません.と動作のなかで,捻挫にならない足首の角度や筋力の発揮が出来ません.着地するときに足の裏が地面に平行になっている‘つもり’でも内側を向いていたり,踏ん張るための筋力が不十分で横方向の力に負けてしまうという具合になります.これを読んでいて足首の捻挫をして間もない人は,なるべく早く足首をクルクル回してみてください,反対方向も・・・
思うように動いてくれましたか?少しぎこちない動きになっていませんか?感覚が鈍く,筋肉が協調的に働かないためスムースな動作が出来なくなっています.その状態では捻挫をしやすいということになりますので予防のためのトレーニングが必要です.これは,スポーツする人に限らず一般の方でも起こるので注意しましょう.
- 動作の仕方:フォーム
これは,前述との組み合わせです.それぞれの動作において,足首の向きや曲がっている角度が捻挫に影響します.例えば重心が高く膝が伸びた状態では,足首の(背屈)角度が不十分で関節の安定性が保たれません.
なぜ繰り返すのか??
答えは原因に隠されています.
捻挫をすると,靭帯にダメージがかかります.そのダメージの度合いによって捻挫の重症度は変わりますが,靭帯が部分的にでも損傷すると関節の固定性がなくなり緩くなります.これがさらなる捻挫の再発の原因ともなります.
また,捻挫すると関節は腫れ,痛みがでます.痛みと腫れは感覚を鈍感にし本来の関節の機能を失います.足首の感覚が鈍くなり自分の思い通りに動かなくなります.これが先ほどの足首を回したりする動作のことです.
動作の仕方,フォームはその人のクセになっています.着地時の重心位置,足の裏のどのあたりに力がかかるか,などもともとの動作の仕方が影響しているため,単純な動作の反復でフォームを修正する必要があります.
捻挫は予防できるか?
出来ます.
捻挫の再発を調べた論文では,しっかりリハビリを行った選手とそうでない選手では再発率に差があったとしていますし,テーピングやサポーターを使用することで再発率が減少したと報告しています.
適切なリハビリとテーピング使用が予防には重要です.
どういうリハビリが必要??
どうしたら,捻挫を予防出来るか?繰り返さないように出来るか?
骨の構造を考えて,関節が安定する状態を維持することが重要です.これは動作の仕方を見直す必要があります.
それぞれの動作で重心が高くなると足首はしっかり曲がりません.足首・膝・股関節をバランスよく曲げて姿勢を維持する必要があります.その他,急な方向転換での爪先の向きや踏ん張る位置でも捻挫に対する力に抵抗できるかが変わりますので,それぞれの動作を反復し,無意識でも動作が行えるようにすることが必要です.これは少し時間がかかりますが,適切なフォームはパフォーマンスの向上にもなるため時間をかけてでも習得するとよいと思います.
一番効果が出やすく,自分でも行いやすいのは感覚に対するリハビリです.感覚が鈍いというのは,足首の曲がっている角度や位置が正確に分からないということになります.踏ん張ろうとしているときに角度が不十分であったり,爪先の向きがしっかりなっていなかったりです.また感覚が鈍いと筋力もしっかり働かないため,踏ん張る際に必要な筋力が予め働かず捻挫してしまいます.また,感覚がしっかりしていれば捻挫しかけても,脚を踏みかえたり,転倒し力を逃がすことが出来ますが,鈍いと反応が出来ずに捻挫しています.
感覚と思い通りに動くように筋肉の働きを戻すためには,足首の複雑な運動を繰り返すこと,バランスの練習をすることです.
自分の出来そうで出来ない課題を行うと一番効果があると言われます.
前述した足首をクルクル回す方法も良いリハビリです.動かしやすい方向と動かしにくい方向があるはずなので,動かしにくい方向もしっかり練習しましょう.準備体操でするような,爪先を地面につけて足首を動かす体操も効果的です.利き足でない方の足でいつもと逆回転は,思い通りにいかないとおもいますのでやってみてください.クッションの上で片脚でバランスを取ったり,目をつぶってバランスをとる練習も足首の感覚にはよいトレーニングです.
一度捻挫をすると,再発しやすいことは事実です.
しかし,クセになる訳ではありません.原因を考えてしっかり対処すれば繰り返すことも避けられます.
捻挫した後はしばらくテーピングやサポーターを使用したり,感覚を取り戻すトレーニングをしっかり取り入れたり,その時々にあったエクササイズを行いましょう.
石川県金沢市 スポーツ,身体のケア,健康のことなら Sept. 㐂楽
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