五十肩とよく言われますが,肩の痛みの総称のようになっています.腰に痛みがあるのを,腰痛症というのと同じですね.
なかでも肩の痛みがひどくなり,肩関節が90°程度しか上げられないほど固くなってしまうことがあります.
そのような症状になった人,治療に面した人はわかると思いますが,なかなかよくならず2年ほど痛みや固さが続くことがあります.
これを少しでも早くよくするのにはどうすればよいかを考えてみます.
凍結肩についてのレビューを参考にしています。
今までは凍結肩について、病態を細かく考えられていないものが多いようです。
病態理解がないままだと、関節内圧だけの話に囚われたり、病態に則した治療が行われないため、一度深く掘り下げてみる必要があるのでしょう。
いわゆる凍結肩(五十肩)
痛みと拘縮(関節が固くなること)
痛み
夜間の痛み,可動最終域(外転+外旋*シートベルトをとる,伸展+内旋*帯を結ぶ,後ろのポケットに手を回す)での運動時痛
徐々に増悪し安静時にも痛みを生じるようになる
上肢の運動反復,精神的ストレス,寒さや振動刺激,天候の変化にて増悪
90%の患者で1~2年間痛みが継続する
拘縮
肩甲上腕関節包内運動における可動域の減少
一般に外転や内旋より外旋の制限が大きい
定義
定義・治療・病態説明が困難
肩関節疾患のない原因不明の可動域制限
病態生理
ほとんどが不明
神経・外科・組織学的所見
肩甲上腕関節滑膜が関係する
病態生理モデルおよびCRPS(複合性局所疼痛症候群)との対比
拘縮より先に疼痛が発生し,先に疼痛が改善されるかは不明
疼痛の原因は関節構造の変化によるものではないと考えられる
上肢に自律神経障害がある
CRPSとの共通点は・・・外傷,糖尿病,甲状腺異常,脂質異常症 で発生しやすい
初期の炎症を伴わない疼痛期は数週から数か月持続
徐々に結合組織の拘縮を伴うようになる
アドレナリン受容体,後根反射,中枢神経システム,神経終末の漿液性球状変化,交感神経感作用が関与していると考えられる
疫学
両側に発症しやすい (16%が対側も発症*糖尿病症例ではさらに多い)
同側の再発はまれ
甲状腺機能亢進症,高脂血症で発症しやすい
いわゆる五十肩です.病院で五十肩という診断を受けることはほとんどありません.滑液包炎や肩関節周囲炎が多いと思います.
現在,こういった症状への対処は病態を意識したものではありません.
上記の事柄から考えると,
・原因神経組織と虚血の解除
・鍼通電やIschemic conditioningが適応されると思われます.
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