腰痛の原因を考え直すには こちら
腰痛は日本人の7~8割が一度はなったことがあり,約半数の人は持続的に腰痛を持っていると言われています.
腰痛を引き起こす疾患は様々で,
などが挙げられます.
しかし, 腰痛の原因が見つかることはまれで腰痛の80%以上がレントゲンなどで原因が見つからない‘非特異性腰痛’だと言われています.
そのため,腰痛の原因をレントゲンやCT,MRIで分かりにくい,筋肉や筋膜の痛みとして考える風潮があります.
腰痛をインターネットで調べると,筋膜を原因とする考え方もみられるようになりました.
筋膜リリースという名称やトリガーポイントというマッサージ道具もよく販売されています.
たしかに筋肉の痛みというのは存在し,酸素が不十分な状態で筋肉が働くと痛みを感じます.
ただし,筋肉や筋膜というのは軽い刺激では痛みを感じない組織です.
腰まわりの筋肉を押さえると痛みはありますが,そこは抑えた場所に神経や血管の通り道がある場所です.
実際,腰まわりの筋膜は破れていることもあり,それを元通りにすることは出来ません.
‘原因を考える知識と技術がない’
例えば,椎体終板障害をみようとするとレントゲンではほとんど判断できず,MRIでようやく判断できる,それも何種類かの撮影方法で見比べてようやくわかるものです.
レントゲンで異常がないから原因がわからない,MRIでみて原因が分からない から 筋肉や筋膜の痛みと考えてしまいがちになっています.
ただそれはしっかり考えられていないだけなのかもしれません.
それで‘非特異性腰痛’とされ治療されてもその時は少し楽になるかもしれませんが,根本解決とは言えないでしょう.
身体の動きや他の検査を通して人の身体の状況を判断することも出来ます.
レントゲンやMRIでわからない,だから‘筋肉の痛み’,椎間板が飛び出ているから‘ヘルニアの痛み’ではありません.
それぞれの症状がなぜ起こっているのかをしっかり考えてみましょう.
腰のなかでも腰椎の4番目あたりが一番なりやすいとされます.
腰の動きが一番集中しやすいためです.
椎間板のなかのゼリー状の塊が椎間板を取り囲んでいる線維の膜から飛び出した状態を言います.
周辺の神経が圧迫され,神経に障害が生じた結果が椎間板ヘルニアの症状となります.
ヘルニアで飛び出した塊は少しずつ小さくなり症状もなくなりますが,飛び出し方が小さいと症状が長引きやすいと考えられます.
ただしその場合,小さいヘルニアであり症状は重症ではないはずです.
そうすると長引くつらい痛みはヘルニアが原因ではないかもしれません.
ヘルニアは腰椎が前に曲がると身体の重みで強く圧迫される構造になっています.
そのため座っている姿勢や身体を前に曲げる姿勢には注意が必要となります.
また,立っていてもお腹が前に反っている姿勢では椎間板がよじられる力が働くため反らないようにすることも大切です.
足の力が入りにくかったり,トイレがしにくいなどの症状も大事なため,痛みだけで判断しないようにしましょう.
背骨の神経の通り道である【脊柱管】が,椎間板,背骨や靭帯により狭くなり神経を圧迫した結果起こる症状です.
腰痛や足の痺れ,トイレがしにくいなどの症状があります.
特に‘歩くと痛みやしびれが強くなり座るとほどなく楽になる’という症状が特徴です.
これはなぜ起こるかというと,背骨の腰のあたりは前に反った形をしていますが,立った状態で,お腹やお尻の筋肉の働きが弱かったり股関節が固かったりすると,腰の反りが一段と強くなります.
脊柱管は反りが強いと神経を圧迫しやすくなるため,反った姿勢で歩いていると症状が出るのです.
座ると反対に背骨がまっすぐなり,神経の圧迫がなくなり症状が軽減されるのです.
なぜという事を考えれば,姿勢の重要性も分かりますし,エクササイズの必要性もわかると思います.
確かに原因は様々ですが,適切に筋力をつけるエクササイズ,背骨や股関節の柔軟性を確保すれば,姿勢が改善し症状が軽減される可能性はあります.
姿勢を見直して適切なエクササイズで身体を整えましょう.
椎間板というとヘルニアが連想されますが,ヘルニアで神経が圧迫された症状ではなく,椎間板自身の痛みもあります.
正常な椎間板はほとんど痛みを感じず,椎間板を覆っている線維の膜の部分だけ痛みを感じます.
しかし,椎間板の水分がなくなり変性してしまうと,痛みを感じる神経が椎間板内部まで伸びてしまい痛みを感じるようになります.
椎間板の変性は20歳ごろから始まることもあり,痛みの原因になることも稀ではありません.
日常の姿勢や動作の仕方で椎間板の変性は進んでしまうため,将来の身体のためにも姿勢の見直しは必要です.
椎間板は腰を曲げると圧迫を受けやすく痛みの原因となるため股関節を柔軟につかい腰を真っ直ぐ保つ練習も必要となります.
急性腰痛症の一つ.
ぎっくり腰の原因は未だはっきりしません.
一時は腰椎の椎間関節の捻挫といわれることが多かったようですが,椎間関節へのストレスとなる動きでぎっくり腰が生じているのではないようです.
最近では,エコー技術の発達や高解像度のMRIのおかげでぎっくり腰の原因が探られています.
その中では,椎間板のまわりを覆っている線維の膜が破れるとぎっくり腰の症状になるのではないかと考えている専門家が見られます.
その部分は痛みを感じる神経もあり,ぎっくり腰になる要素と合致します.
基本的には2,3日の安静のあと痛みがひどくならない範囲で元通りの生活に戻すのが治療の原則です.
しかし,少しでも痛みを取るには,破れた椎間板の部分の負担を減らすための整体や鍼灸施術にも効果が期待出来ます.
坐骨神経による痛みの総称となります.
基本的には何らかの理由で坐骨神経に負担がかかると神経に沿った痛みが生じます.
椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症,梨状筋によっで神経を圧迫したり,神経の伸びやすさや動きやすさが損なわれると症状が生じます.
特に神経は複数の場所でストレスを受けると,痛みや痺れが生じやすいため,一か所だけでなく色々な場所をチェックする必要があります.
椎間板ヘルニアや,脊柱管狭窄症は姿勢で改善する例もありますし,梨状筋ストレッチなども効果的です.
また,ストレッチというと筋肉に対するものと考えがちですが,神経のストレッチも可能です.
神経自体に余裕があれば症状が軽減する可能性もあります.
筋肉により引き起こされる腰痛です.
遅発性筋痛と言われる,いわゆる筋肉痛が腰部に生じたものも含みます.
筋肉は血流が不十分で酸素が足りない状態で働こうとすると痛みを生じます.
正常な筋や筋膜は少しの刺激では痛みを生じません.
実際鍼で筋膜や筋肉を刺しても,強い痛みはほとんどありません.
皮膚を刺したときの方が痛みます.
筋筋膜性の腰痛は,筋肉の血流を改善させることが必要です.
筋肉は収縮したままや引き伸ばされた状態では血流が制限されてしまいます.
肩が腰より前に出た姿勢や座って腰が曲がっている姿勢が続くと痛みが出やすくなります.
普段の姿勢も見直してみましょう.